ローマから吹く風




ポルチーノ茸祭り

ローマから吹く風

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 8月から9月にかけてイタリア各地でSAGRA(サグラ)が催される。祭りと訳すけれど、元々は「豊穣祭」みたいなニュアンスで、その土地の特産物の取り入れ時に行われ、村人に無料で特産物料理を振る舞って皆で食べ合うのがそもそもだった。
 今は町おこしに使われる場合が多い。



ローマから吹く風

 ローマから南東へ50キロほど行った丘の中腹にある小さな町、コッレ・ディ・フオーリもポルチーノ・キノコのサグラを町おこしに使っている。
 なにしろ、イタリア中どんな町でも古代ローマの足跡があるはずなのに、この新興の町には人を呼び寄せるものがなにもないのだ。Colle di Fuoriで検索するとこのサグラとサッカーしか出てこない。
 往く夏を惜しんで、「どこかの街で、夜に軽く食べてお散歩する」という夏の過ごし方の終焉を飾るべく、土曜の夜にこのサグラに行ってみた。
 サグラの舞台の町には車で近づけないのが普通だ。メイン通りは車両通行止めになるし、外から人がたくさんやってくる。公共交通の便はひどく悪いのが普通なので、外からくる人は車を使う。コッレ・ディ・フオーリのサグラは15年の歴史があり、そこはお手の物。町の入口にあるサッカー場を駐車場として無料で解放していた。



マンガ学校

 メイン通りには、お祭りの印でもあるイルミネーションが欠かせない。



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(左)ウェディングドレス (中)スパイス (右)ストーブ用の薪

 町おこしにサグラを使うだけあって、町の見本市のような様相をしていた。どのサグラにもある屋台の他に町で営業している店も屋台を出していた。
 この他にも屋台は続き、ポルチーノとは全く無関係に、とうもろこしの炭火焼きだの、健康枕だの、チープなおもちゃだの、音楽CDだの、アフリカの木工だの、あると便利な道具(でも、いざ買っても家に持ち帰ると使わない代物)だのの屋台が並んで、いやが上にもお祭り気分を盛り上げてくれる。
(左)お菓子 (右)BAR

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(左)飴やさん (中)ナッツ各種 (右)リクリツィア(甘草)

 そして、日本の夜店やお祭りに出てくる屋台の類。これは町の店の出店ではない。
 この他にも屋台は続き、ポルチーノとは全く無関係に、とうもろこしの炭火焼きだの、健康枕だの、チープなおもちゃだの、音楽CDだの、アフリカの木工だの、あると便利な道具(でも、いざ買っても家に持ち帰ると使わない代物)だのの屋台が並んで、いやが上にもお祭り気分を盛り上げてくれる。
 人の群れが屋台を覗きながらノロノロ歩き、前の人がいきなり立ち止まったり、子供が買ってくれとせがむのをたしなめる親の声なども夏祭りだ。
 そうした空気を十分に吸って気分が盛り上がったところで、中央の広場へ行き、メインであるところのポルチーノを使った料理を味わうお時間となる。



お店

町のレストランの共同ポスター

 ここのサグラが町おこしだな、と思った理由の一つに料理の提供を町のレストランが請け負っていること。
 たいていのサグラは市が主催してお祭りの担当者が奥さん連中を組織して野外仮設キッチンで料理の腕を振るってもらう、手つくり感が大きい料理だ。
 ここは三軒のレストランがそれぞれに自分たちの仮設キッチンで料理をしている。食べたい人はレストランを選ぶことになる。以下、食べるまでの手順



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広場にある集合会計

 三軒のレストランと一軒のピッツェリアの会計がここに集まっている。でも窓口は別。
並ぶ前にレストランを選ぶ。メニューから食べたい料理を選ぶ。料理の名前が書いてあるレシートを受け取って、レストランのキッチンに並ぶ。



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レストラン「プラーティ」

 先に会計を済ませる事を知らずに、なんとなく並んだレストランを選ぶことになった。
メニューの数はたくさん無くて、セルフサービス式に大量にお鍋にどんどん作る。長蛇の列も30分ほど並んで私達の番になった。



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盛り付けお姉さん

 レシートの料理名を見て手際よくお皿に盛るお姉さんが二人(こういう場合、お皿はプラスチックと決まっている)。
にこやかに接してくれるのが気持ち良い。



お店

今回の主役

 ポルチーノキノコをフライパンで料理したソースとトリュフで和えたパスタ。ポルチーノとトリュフという臭い取り合わせで、なかなかハードで美味しい。
 パスタは卵で練ったもの。これはCELLITTI(チェリッティ)という名前のローマ近郊特産のパスタ。うどんのように太い。スーパーなどでは見られない種類のパスタだ。




お店

真剣な作業

 旦那と息子はフェットチーネを選んだ。味付けはもちろんポルチーノ。




お店

セコンド

 セコンド(第二の皿・タンパク質)は三人で一皿。パスタの盛りが良かったので、もはやお腹いっぱい。
 羊の串焼きとポルチーノキノコのロースト。
 パスタ三皿とこれで30ユーロ(約4000円)。決して高くないけどそう安くもない。サグラならもうちょっとおまけしてよと思うけど、町おこしだから仕方ないか。




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 ドイツのオクトーバーフェストみたいな感じでテントの下、長いテーブルとベンチ式の椅子が並んで、相席で食べる。
皆で歌って立ち上がったりはないけどね。
 時折、「食事が終わった人は席を譲って下さい」とアナウンスがあった。盛況でよかったね。